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今こそ変われるか?大手メディアが書けないこと。断ち切れ!「しがらみんピック」

(写真:NHK訪問の会議後にVTR取材を受けた筆者)

 開催前から波乱尽くめの東京オリンピック2020。「呪われたオリンピック」などとも揶揄されるが、そんな占いや魔術のようなメルヘン?な話ではない。これは、長い年月をかけて蓄積され築かれてきた「絆御殿」がいよいよ臨界状態であることを示す、いわば起こるべくして起こっている「必然の騒動」である。

 数々のトラブルからスタートし、開会式の楽曲を担当する予定だった小山田圭吾氏の辞任劇は記憶に新しい。続いて間髪を入れず、絵本作家といわれるのぶみ氏も自身の過去の言動で辞任。そして今度は、大会オリンピック開会式・閉会式のショーディレクター小林賢太郎氏の過去の「ユダヤ人大量惨殺ネタ」が禁断のホロコーストをネタにしたということで問題となっている。*サイモン・ヴィセンタール・センターは現時点IOCに対し抗議をし、JOC橋本会長は同氏を本日22日解任した。

 彼らの辞任理由は「過去の言動」であるが、一体なぜ、そういった「過去のある人」ばかりが次から次へと出てくるのだろうか?こうなってくると当然、起用する側の責任も問われるべきだが、起用するにあたって「身体検査が不十分だった」というのは正当な理由と言えるだろうか?

 小山田氏ついては、数年前にすでに問題の雑誌がらみで物議を醸していたと聞く。あからさまに公になっていた情報であるにも関わらず、誰一人として本当に気がつかなかったのか?そして、そもそも当時、なぜ「物議を醸す」程度で済んでしまったのだろうか。

 一般論から言えば、過去に事件を起こした人間は、服役したか否かを問わず社会復帰をするのは並大抵の苦労ではない。それなのに、著名人に限っては、まるですっかり過去がなかったかのように、普通に芸能界復帰できてしまう人たちが多く見られるのは何故なのか?

 「罪は償われ許されるもの」というのは、いたずらに憎悪を後世に残さないためにも、誠実で妥当な手段で償われた罪は許されるべきであると筆者は思う。

 しかしながら、それは表面的な理想論であり、被害者やご親族の心情としては、胸を裂かれるほどの苦悩と一生涯癒えることのない深い悲しみが残される。

 外野であるはずのメディアは、最優先に保護・ケアされるべき被害者を置き去りにし、「謝ったんだからもう済んだ話だ。」と加害者をしきりに擁護。禊ぎも終わらぬうちに復帰後の話にまで一気に加速するメディアのあほさ加減には首をかしげる。

 刑期を終えれば「罪を償った」こととなり、社会復帰の道が開かれるのは当然だし、社会は可能な限り受け入れるべきと思う。実際、心から自らの行いを悔い、真摯に反省をし、重い十字架を背負いながら人生をやり直そうと懸命に努力する元受刑者だっているだろう。

 しかし、著名人に限っては何故これ程までに、いとも簡単に元の鞘に戻れるのであろうか。厳しい視点から見れば、例えば、覚醒剤などで刑期を終えたある著名人は、「現役時代からやっていた」と裁判でも証言している。スポーツ選手だとすれば、少なくとも「ドーピングの力で驚異の記録が出た」という疑いも否定できないだろう。そうなると、その著名人の輝かしい記録や栄光は、「薬物によってブーストされたフェイクの記録」ではないのだろうか?

 いくら形式的に責任を取った、禊ぎは済んだとはいっても、他の才能あふれる適任者には目もくれず、あえて前科や不適切な過去のある著名人を起用する理由は何故なのか?今回のオリンピック問題の一連の共通点を探してみると、仲間内で仕事を回していることが大きな原因であることが見えてきた。

 コンペティションなら薬物事案であれば即失格、記録抹消、シビアなケースは永久追放?となるような重大なものである。このようないかなる不正も許さないという強い姿勢は、社会的影響力を持った「公の場」で活動する者に、それだけ大きな社会的責任が課せられているということをも意味する。それなのに、「公」であるはずのNHKを含めた芸能関係はとても甘い。

 ファンも、贔屓にしているタレントだからと不都合な事実に目を瞑り、何かと理由をつけて許してしまう傾向にある。くどいようだが、築き上げた歴史の中には、少なくとも現役時代に薬物を摂取して以降の「ドーピングでブーストされたプレー」によって生まれた記録が含まれている。

 ここまで現実を突きつけられていながら、相も変わらずファンや関係者が、社会的な影響(秩序やモラルの低下)を省みず、自分たちの保身や利益のためだけに、ネットなどで「もう済んだことだろう」とこれに反論してくるのであれば、もはや救いようがない。無論、社会復帰することになんの異議もないが、簡単に元の鞘に戻れるというのは著名人の特権なのか?

 今回の小山田氏の辞任騒動に関して言えば、いじめ事案についてNHKが過去に説明を受けていたにもかかわらず、事の重大さを軽視し、咎めることもないままこれまでに至ったため、前代未聞の世界からも非難を浴びる辞任騒動となった。そして、小山田氏に続いて過去の過ちを理由として辞任した、絵本作家のぶみ氏もまた、NHKの Eテレで子供向け番組などの絵を描いていたという。

 日本の風潮として、企業CMから政府広報、教育番組や行政のチラシまで、何かにつけて「タレント」の起用に異常なほど積極的だ。有名人を使えば、売り上げや認知度が上がるのだろうか?タレントに支払う金額は馬鹿にならない。

 大きな影響力を持つメディアの社会的責任は大きい。いい加減、仲間内や仲良しの絆ではなく、「盛らない、創らない、嘘をつかない。」実力と才能あるクリーンな人物を起用してもらいたい。そうすれば、自ずと日本の秩序やモラル、文化レベルも向上するのではないだろうか。

 今回のTOKYO2020は、あらゆる面でホームラン級のオリンピックかな!?

ANALOGシンガーソング編集部 小西寛子

小西寛子: 小西寛子(声優・シンガーソングライター・司会・執筆)1975年埼玉県川越市生まれ、その後湘南、神奈川県平塚市で育つ。幼少からフルートを学び、相模女子大短期学部で造形、その後中央大学法学部卒。まったり声など独自のオリジナル声NHKおじゃる丸、逮捕しちゃうぞ、ドクタースランプ、浦安鉄筋家族、すごいよ!!マサルさん、デジタルモンスター他多数のアニメ、ゲームからTVバラエティー、CMまで、主演や主要キャラクターとして多数出演。自ら企画全構成を担当する番組・産経デジタルのiRONNA小西寛子のセカンドオピニオンや執筆活動の他、法知識を生かしたコメンテイターとしてTV番組にも出演。道徳、教育、幼少期からのエクゼクティブスキル私塾。刑事告訴状起草から民事手続全般(仮処分〜執行・差押え)本人自ら手続きする豊富な知識。ま特技としてはアコースティックギターなどのレストア、趣味のオートバイレストアや修理・改造、トライアル、トライク(3輪オートバイ)からスノーモービルまで所有、乗り物をこよなく愛す。