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シリーズ「嘘と不寛容な大人社会が子供に与える影響」②真相取材、小学校ICT教育と不正アクセス事件!萩生田 文部科学大臣 殿

(写真:文部科学省、萩生田光一文部科学大臣定例記者会見 R2・12・8より)

フェイク、デコレーション、バイオレンス、Vulgar・・・

 インターネットを開くと、なにかにつけて飛び込んでくる目を覆いたくなる広告や映像、筆者は、こういった目を引かせるための広告を目にしたくないのでOPT−OUT(追跡型広告やユーザープロファイルに基づいた広告制限)をしている。

 それでも表示されるニュース上の漫画や陰謀論、投資のいかがわしい広告には手を焼く。

 インターネットは得たい情報を集めるのに苦労をしない。検索窓に「新型コロナウイルス感染症対策」といれればそれだけで何万という情報が検索される。しかしながら同時に「人の好奇心を揺さぶるような興味を引くような情報も沢山表示される」。

 大手サイトのYahooなどをみても、事件・事故、政治、天気など一般のニュース記事の中にエンタメ(フィクション)がTOPニュースとして分け隔てなく組み込まれている。本来、報道記事は客観的事実を伝えるものであるから別枠にしなければならない。しかしながらその区分けは上部にあるカテゴリーだけである。

 神秘的で心地よく、あなたの心を満たす気持ちの良いものは、UFOや心霊、深海や宇宙空間、更には「推し記事」などと呼ばれる芸能人・著名人への絶賛記事、バイクなどの乗り物など次々とあなたのパソコンに現れ誘惑する。

 これらが本当のものではなくて、嘘のもの、フェイクだったらどうだろう?毎日毎時、絶え間なく反復して送られる嘘の情報、刷り込みのように考えなくてもあなたの目の前にあらわれ、脳はいつもの日常としてそれらを捉える。

 あなたの脳内がそれらで一杯になる。その知識でエンタメ博士になってツイッターに批評を書くか?それとも真偽不明なニュースを信じてあなた自身がそれを伝える媒体になるか?いずれにしてもネットには色々なものが潜んでいる。子供達はこれらを見て育つ!

最近、筆者が取材と聞き込みをした東京都内公立小学校であった実際の話。

 本年度より、文科省のGIGAスクール構想計画(GIGA=Global and Innovation Gateway for All)として、小学校では児童一人に一台、専用のノートパソコンが貸与され、ICT教育が始まった。

 ICTは「Information and Communication Technology(インフォメーション・アンド・コミュニケーション・テクノロジー)」の略だが、簡単に言うとメールでのコミュニケーションやSNS上でのやり取り、オンラインショッピング等、人同士のコミュニケーションを手助けしたりするような、「IT技術」を使用して人々の暮らしをどうやって豊かにしていくかという活用方法に関する考え方である。

 事件はこの教育の一環で起こった。

 とある小学校では、ローマ字学習の一環で、「キーボー島」というローマ字入力タイピング練習サイトを利用し学習に取り組んでいる。ゲーム感覚で友達と競うように学習が進められるため、子供達の食いつきの良さ(ゲームだから当然であるが)を利用して、このサイトを利用している学校も多いと聞く。

 しかし、やはり新たな取り組みをするにあたっては、想定内外の様々な問題が起きるものである。

 ある男の子が自分のIDとパスワードでログインした時に発覚した。驚いたことになんと、その男子小学生のアカウント名(ニックネーム)が「この世から消えろ!」「ザコ笑笑」といった文字に改変されていたという。

 ・・・いわゆる大人社会で言う「不正アクセス」事件である。

 なぜこのような事件が起こったのか?・・・答えは至極簡単である。個別作成させたIDではなく、出席簿順に割り当てられた数字のID、そして共通のパスワード。

 なぜパスワードが共通?・・・それは「子供達がパスワードの管理が出来ない」という学校側の判断であるが、ちょっと知恵の働く児童であれば、IDを前後させるだけで他人のアカウントにログインできることに気がつく。

 しかしながら、その「裏技」に気づいた児童には、「不正アクセス」という認識はまったくない。その後類似の事件が他のクラスでも発生し、一時は利用停止という事態へとなったの由。

 「ID」と「パスワード」は、児童一人一人に個別に割り当てられたもの。管理者の正当な理由以外のアクセス権は他人にはない。たとえ、改変などの目的でなくとも、他人のページを覗く(お友達の学習進度を無断で知る)ことは立派な「不正である」ということを、大人たちはきちんと教え、子供達は理解し学ばなくてはならない。

 IPやアクセスログの存在は、巧妙に忍び込んだつもりでも、くっきり足跡(証拠)が残るということも子供達に教えなければならない。

 また仮に、IDは出席簿順でもいいが、パスワードの重要性や管理することの意味もネットワーク社会に社会人として組み込ませるICT教育、それこそがGIGAスクール構想の趣旨や目的ではないだろうか?

 性善説が成り立つのは道徳やモラル、規則がしっかり作られた社会である。それまでは、文部科学省、教育委員会が「何とかなるさ」の性善説で事業に取り組んでしまってはいけないことぐらいの石橋は必要である。

 今回の不正アクセス事件によって得られた「ICT教育の問題点」は、IT技術を活用する前提として備わっているべき大切な倫理である。失敗は多々あるものだが、しわ寄せは子供達と現場の教職員。当事者の厳重注意で終わらせてはいけない。

 その後、いじめに繋がってはいないだろうか?再発のおそれはないのか?しっかりとした検証と再発防止のための倫理教育、被害者のケア、管轄する文部科学大臣にお伝えしたいが現場まかせではなく社会問題として捉え、ICT教育を成功させて欲しいと願う。

 時代の変革期においては様々な困難に突き当たる。大人達が学ぶべきことは多い。

タグ ICT教育
小西寛子: 小西寛子(声優・シンガーソングライター・司会・執筆)1975年埼玉県川越市生まれ、その後湘南、神奈川県平塚市で育つ。幼少からフルートを学び、相模女子大短期学部で造形、その後中央大学法学部卒。まったり声など独自のオリジナル声NHKおじゃる丸、逮捕しちゃうぞ、ドクタースランプ、浦安鉄筋家族、すごいよ!!マサルさん、デジタルモンスター他多数のアニメ、ゲームからTVバラエティー、CMまで、主演や主要キャラクターとして多数出演。自ら企画全構成を担当する番組・産経デジタルのiRONNA小西寛子のセカンドオピニオンや執筆活動の他、法知識を生かしたコメンテイターとしてTV番組にも出演。道徳、教育、幼少期からのエクゼクティブスキル私塾。刑事告訴状起草から民事手続全般(仮処分〜執行・差押え)本人自ら手続きする豊富な知識。ま特技としてはアコースティックギターなどのレストア、趣味のオートバイレストアや修理・改造、トライアル、トライク(3輪オートバイ)からスノーモービルまで所有、乗り物をこよなく愛す。