2025年参議院議員選挙、ネット住民視点の争点(投票先)分析 ― SNS分析を通じた実証的考察

2025年参議院議員選挙、ネット住民視点の争点(投票先)分析 ― SNS分析を通じた実証的考察

はじめに

 2025年7月20日投票の参議院議員選挙は、現首相である石破茂率いる与党体制の信任を問う重要な選挙でだと思います。近年、インターネットやソーシャルメディア(SNS)の台頭により、市民の政治参加の形態は大きく変化しているおり、従来型の「電話世論調査」と異なり、ネット住民の意見はリアルタイムかつ多様で、従来メディアが拾いきれない「現場の声」を含んでいる可能性があります。

 そこで小学3年頃からプログラミングをしてきたIT利用者の筆者、小西寛子としては、X(旧Twitter)、5chやNニコニコ等掲示板(筆者はアクセスしたりしないのでAI等の抽出検索のみ)といったあらゆるネット空間まで議論を詳細に抽出・分析し、ネット住民が考える「真の争点」を明らかにして投票先を考えることを目的とします。

背景と問題意識

 昨今メディア情報に関してはフェイクニュースや偏向報道等と言われ、政府に偏った記事等が見られるなどの意見も多いですが、筆者は、NHKなどが行う電話調査(主に固定電話)は高齢層や無職者に偏る傾向が指摘されており、若年層や現役世代の声を過小評価する可能性がある(Go2Senkyo, 2023;Aruhi Magazine, 2023)ということも含めて考えています。*筆者はテレビを見ない(保有しない)NHKデータに関しては全てネット等の公表物(引用等)から抽出しています。

 2023年のNHK調査では回答者の50.8%が60歳以上であるのに対し、18-39歳はわずか11.9%にとどまっている。このサンプリングバイアスにより、特定政党(特に自民党)の支持率が過大に見積もられる可能性がある。

 一方、ネット上の議論では、若年層が中心となり、経済的困窮、社会保障、政治腐敗など、日常生活に直結した問題が頻繁に取り上げられている。ネット住民は政治への信頼不足や政策実行力への不満を背景に、従来の「シルバー民主主義」を批判する傾向を強めている。

調査研究目的

 よって、本調査研究の目的は主に以下の3点に集約されるといえるでしょう。

  1. ネット住民が捉える主要争点の抽出
  2. 政治発言頻度による関心分野の比較
  3. 世代別、及びメディア別の支持政党動向の分析

独自の調査方法

 データは2024年9月〜2025年7月にかけて、X、5ch、Niconico等ネット民の多くいる場所などから収集した投稿を対象とします。抽出キーワードは「参議院選挙2025」「物価高」「社会保障」「政治改革」「憲法改正」など約50語を設定しました。さらに、NHK世論調査、Niconicoネット世論調査、総務省データ、The Japan Newsの政党支持率などを補助データとして使用しました。

結果

抽出された主要争点について

1. 経済対策(インフレ・物価高)

 ネット住民の最大の関心事は物価高とインフレ対策でした。消費税減税、自給自足推進、意外な自衛隊によるコメ生産強化など具体的な政策要求が多く見られた(Bloomberg Japan, 2025)。NHK世論調査でも「社会保障と少子化対策」と並んで高い比率(28%)を示したことがわかりました。

2. 社会保障・少子化対策

 子育て支援や教育費軽減、高齢者医療費の見直しといった政策が強く支持されている。特に若年層は、将来の社会保障制度への不安から「現実的な制度改革」を求める声が多い(NHK選挙WEB, 2025)。

3. 移民政策・外交

 ネット上では、移民受け入れと地方の空洞化が強く関連づけて議論されている。さらに、アメリカ関税問題、対中関係、統一教会問題、CIA対日工作などの議論も盛んである(SNS一般アカウント等)。

4. 憲法改正・安全保障

 憲法第9条の改正に関しては賛否両論があり、ネット住民の間でも意見が割れている。5chでは「国防強化」派と「平和憲法堅持」派の激しい議論が展開されている。

5. 政治改革と透明性

 政治資金問題、裏金、政治家のスキャンダルに対する厳しい批判が目立つ。若者層では、政治倫理と透明性の欠如が大きな不信感の源泉となっている(言論NPO, 2025)。

政治発言頻度別の分析

頻繁に政治発言するアカウントの傾向

 これらのアカウントは構造的な政治改革、システム改革、外交・安全保障政策の見直しを強く訴える傾向がある。X上の政治アナリストと言われるもの(@アカウント名は伏せる)などは、CIA対日影響、企業献金問題、統一教会との関係に言及する投稿が多い。

普段政治発言をしないアカウントによる発言

 日常生活に密接した物価高対策、社会保障、地方経済活性化を重視する。例えば、大阪の民泊問題による家賃高騰(@アカウント名は伏せる)や子育て支援(@アカウント名は伏せる)への具体的な要求が多い。

年齢層別・政党支持率

 表1に示すように、若年層では自民党支持率が低い(18-29歳:32%)、代わりに維新(25.1%)、参政党(10.9%)などの新興政党の支持が目立つ。高齢層では自民党支持率が40%以上と高く、「シルバー民主主義」の傾向が強い。

年齢層自民党 (%)立憲民主長 (%)維新(%)国民 (%)参政党 (%)
18-29321025.120.610.9
30-3933.91125.120.610.9
40-4934.11220.110.7
60+40+8155

(出典:The Japan News等より)

考察

 本調査研究で明らかになったように、ネット住民の最大の関心は「生活の安定」と「政治への信頼回復」にある。従来のメディアが強調する安全保障や外交問題に比べ、ネットではより生活密着型の問題が前面に出ている。

 また、NHKの世論調査では固定電話回答比率が66.2%にのぼり、20代の固定電話利用率が10%未満であることを考慮すると、若年層の意見は過小評価されている可能性が高い。このため、ネット上の「小さいアカウント」や個人投稿を含めることで、政治の実態と真の争点をより正確に把握できる。

結論

 2025年参議院選挙においてネット住民が最重視する争点は、経済(特に物価高と社会保障)であり、次いで政治改革、移民政策、外交、安全保障が挙げられる。従来型世論調査だけでは不十分であり、ネットの議論を包括的に取り入れる必要がある。今後の研究では、オンライン調査の体系化、年齢層別意見分析、小規模アカウントの詳細モニタリングが求められる。

参考

  • NHK選挙WEB. (2025). NHK世論調査 2025.
  • Go2Senkyo. (2023). 選挙分析報告書.
  • Aruhi Magazine. (2023). 固定電話利用率調査.
  • The Japan News. (2022). Upper House Election Age Data.
  • 言論NPO. (2025). 政治信頼度に関する調査報告書.
  • Bloomberg Japan. (2025). 物価高対策に関する報道.
  • 一般Xアカウント
  • Niconicoアンケート. (2025). ネット世論調査.

各AI検索、AI小西寛子等の活用、

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