Larrivée OM-09 ― クラシックなオーケストラモデルが奏でる上質なトーン

Larrivée OM-09 ― クラシックなオーケストラモデルが奏でる上質なトーン

小西寛子のギターレビュー

 こんにちは、小西寛子です。私の公式ページでは、長年エンターテイメント業界で愛用している楽器の魅力を記録として残し、読者の皆さんとシェアすることを楽しみにしています。今回は、私が海外番組内楽曲やDVD映画音楽製作という裏方仕事以外でも(笑)色々使わせてもらっているギターの中から、限定ライブやレコーディングで活躍している Larrivee(ラリビー)OM-09 (私のは2004年製モデル) を中心に、その仕様と音の魅力、ネット等を駆使して調べた実際のユーザー体験をまとめました。日本では代理店を通じて入手しやすい環境が整っており、イベントやカスタム入荷の機会も豊富なのが嬉しい点です。

Larrivee OM-09の概要とメーカーの歴史

 Larrivee Guitarsは1970年代にジャン・ラリビー氏が設立したブランドで、当初はカナダ・バンクーバーに工場を構えていました。その後2001年からはアメリカ・カリフォルニア州オクスナード工場での生産に移行。私の所有する2004年製OM-09も、アメリカ工場でハンドメイドされた一本です。(プロフィールページには記入していませんが、別のモデルでカナダ工場製も数本所有しています)

 OM-09は Artist Series に属するオーケストラモデルで、Martinの伝統的なデザインをベースにしながら、モダンで洗練された要素を取り入れています。ボディはコンパクトながら、豊かな響きを生み出す点が特徴です。プレミアムな木材を使用し、プロからアマチュアまで幅広く支持されるロングセラーモデルとなっています。OMボディは他にもフォルヒなど各社素晴らしい個性豊かな音色がありますのでお試しください。

仕様と特徴

 オールソリッド構造で、軽量かつバランスが良く、フィンガースタイルからストロークまで対応できるのがOM-09の魅力です。主な仕様は以下の通りです。フィンガースタイルが強調されますがストロークでのいわゆる「鈴鳴り」も兼ねているので、オールマイティと言えるでしょう。

項目詳細
ボディ素材トップ: Sitka Spruce(シトカスプルース) – 明るくクリアなトーン。バック&サイド: Indian Rosewood(インディアンローズウッド) – 温かみのある低音とサステイン。
ネックMahogany(マホガニー)、スケール長25.5インチ、ナット幅1-3/4インチ。14フレットジョイントで演奏性が高い。
指板/ブリッジEbony(エボニー)、フレットボードラジアス16インチ。滑らかで耐久性がある。
ブレーシングSymmetrical Parabolic X-Brace ― Larrivee独自設計。
寸法全長40.5インチ、下部ブート15.375インチ、ボディ深さ4.25インチ。
装飾Abaloneロゼット、Mapleバインディング、Tortoiseピックガード。チューナーはJCL 18:1。

 現行の標準モデル価格は約3,649 USD(50万円前後、日本円換算)、これは現在の定価ベースですが、(詳細は輸入代理店の株式会社日本娯楽さんのページでご確認ください)わたしの購入した2004年当時は少し価格も違いまずが、限定仕様としてブラジリアンローズウッド版やSilver Oakバージョンなども存在していて希少性も注目点です。

OMV-05など、素材による音の違いでの使い分けも面白いです。

 私はレコーディングでは OM-09とOMV-05他 を併用しています。OMV-05は同じオーケストラモデルでもトップにSitka Spruce、バック&サイドにMahoganyを採用しており、OM-09のクリアなトーンに比べてよりウォームで柔らかい響きが得られます。カッタウェイ仕様(OMV-05)はハイポジションのソロ演奏がしやすく、スタジオワークでは欠かせない存在です。私は楽曲やアレンジによってOM-09の「鈴なりや透明感」とOMV-05の「温かみ」を切り替えながら使うのがルーティンになっています。

音の魅力と演奏性

 OM-09は「軽いタッチに敏感に反応し、力強く弾けば堂々と鳴る」というレスポンスが魅力。Sitka Spruceトップが明るい高音を引き立て、Rosewoodがどーんと低音を豊かに支えることで、フィンガースタイルにもピック弾きにも万能に対応しますね。

 握手しているようなネックの握り心地も快適で、長時間の演奏でも疲れにくい設計。Martin OM-28やTaylor 814と比べてコンパクトな分、女性の私でも取り回しやすさで優れていると思います。。

ユーザー体験と評価

 筆者の私がネットで色々調べてみると、海外フォーラムやSNSでも「30年弾き込んでも色褪せない」「レコーディングに最高」といった声が多く、長期所有者が多いモデルです。わたしは一切エレアコなどのアコギ用ピックアップではレコーディングしない、いわゆる「生音録音」主義(笑)ですが、YouTubeのレビュー動画でも、クリアで扱いやすいトーンが高評価。国内でも代理店のイベント試奏で「フィンガースタイルに理想的」との声も沢山寄せられています。そう考えると私のようなストロークに単音をかぶせるようなレコーディングスタイルは一本で色々出来ますね。

小西寛子のギターレビューまとめ

 Larrivee OM-09は、伝統と現代性を兼ね備えたオールラウンダーのギターです。ステージ、レコーディング、日常の練習まで幅広く対応し、所有する喜びを長く感じさせてくれる一本だと思います。さらに、OMV-05との使い分けによって音色の幅が広がり、音楽表現がより豊かになります。中古市場でも状態の良い個体が見つかるので、気になる方はぜひチェックしてみてください。

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