検索されるのは「凍結の理由」日本のSNSユーザーの切実な関心
今日7月20日は参議院選挙の投票日ですが、いま、日本のSNS(特にX)利用者の間で最も検索されているワードを探して見たところ、そのひとつが「アカウント凍結」というキーワードです。いつものようにアニメなどのエンターテインメント関連の話題がトレンド上位を賑わす一方、表に出にくい「見えない関心」が、この凍結問題に向けられていることがわかります。
しかも、それが今まさに選挙期間中に多数の「凍結」発生していること、さらに政治的発言との関連が疑われていることなどから、単なる規約違反の処罰では済まされない、社会的・法的に重い意味を帯び始めていると思います。
凍結されたのは「何者」か?特定の傾向と政治的影
検索して見たところ、複数の報告によれば、ある政党に所属する関係者や支持者と思われるXアカウントが、選挙期間中に突如として凍結されたという事例が相次いでいる。詳細な理由は明かされていないが、これらのアカウントには特定の政治的立場や選挙に関する見解が色濃く含まれていたという。政治的「バイアス」がかかるとも言いますが、それによってSNS運営側が自動または通報による判断で凍結を行う可能性は否定できない。しかし、ユーザーの間では・・・、
「なぜ今、この内容で凍結されるのか?」
「これは政治的発言に対する事実上の検閲ではないのか?」
といった疑念が強まっているのもわかります。
SNSと選挙、そして「監視される言論空間」
現在は公職選挙法のもとで、候補者や政党はインターネットを通じて主張を訴えることは許されています。だが、そのプラットフォーム上での発言が企業の運営方針やアルゴリズムによって突如として遮断されるとなれば、選挙の公平性や民主主義の根幹に関わる問題となることは明白です。
たとえば、筆者の経験として、特定の法的・社会的テーマを扱った記事が、明確な違反がないにもかかわらず、著しくエンゲージメントが下がるという現象があった(関連記事)。これは一例に過ぎないが、「不自然な可視化抑制」が日常的に起きているのではないかという疑問を、多くのユーザーが抱いていることは、これらが「凍結」という文字を含むトレンドとして現れてくるから容易にわかります。
見えてきた「3つの共通関心」
現在、SNS上で語られる「凍結」に関する議論を観察すると、ユーザーの関心は主に以下の3点に集中している。
1.凍結の理由が明かされない不透明性:明示的な規約違反ではない投稿が、なぜ削除や凍結の対象となるのか、その基準が不明瞭であることに対する不安。
2.政治的発言との関連性の疑念:とりわけ中立的とは言い難い表現を含んだ発信が対象になる傾向があり、「思想的な偏り」があるのではとの声も。
3.自己防衛の方法を知りたいという切実なニーズ:凍結されないための言葉選びや、匿名・分散的アカウント運用への関心が高まりを見せている。
可視化されない圧力と情報統制の可能性
情報統制は、必ずしも露骨な検閲として現れるわけではない。アルゴリズムによる非表示(不可視制限)や、ユーザーの行動範囲を狭めるサイレント制裁(シャドウバン等)もまた、現代型の「見えざる検閲」である。
また、同時にSNS上では、「一見中立を装った弾圧」「批判を受け入れない政治勢力の影響」「表現の自由が自己検閲へと変質している」という批判も散見されます。確証は難しくとも、その「空気」の存在は否定できないものとなっています。
エンタメトレンドの裏で揺れる言論空間
筆者が見た2025年7月19日時点での日本のトレンドトピックには、相変わらず『鬼滅の刃』や『音楽の日』など、文化的・娯楽的話題が並ぶ。だがその一方で、「凍結」「弾圧」「監視」など、静かなる政治的危機を訴える投稿が徐々に拡散されています。トレンドに現れないからといって、それが「軽い話題」であるとは限らない。沈黙こそが、最大のメッセージであることもあるのです。
「表現の自由」の現在地
さて、SNSにおける凍結問題は、単なる技術的な処理や内部規約の問題ではなく、現代の民主主義社会における「言論の自由」の現在地を問う重要な事象でもあります。現状、何がルール違反で何が許容されるのか、その境界は曖昧であり、しかも今回のように「選挙期間中」という文脈がそれを一層ナイーブにしています。
声を上げることのリスク、声を沈黙させることのリスク――。私たちはその両方を等しく見つめ、慎重に、しかし確実に情報の透明性をXだけでなく国や政府に求めていかなければならないと思います。
選挙の投票期間中ですが、こういう理不尽な事がおこらない、自由で安心な社会作りたいものです。
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法的視点からの補足解説
1. SNS凍結の法的位置付け:日本国内では、SNSプラットフォームによるアカウント凍結は契約自由の原則(民法第521条等)に基づき、利用規約に違反した際に行使される措置です。ただし、それが選挙期間中の政治的発言に対して不当に集中している場合、以下のような法的懸念が生じます:
• 公職選挙法との抵触:選挙の自由・公正の妨害とみなされる可能性
•憲法21条(表現の自由)の事実上の制限:国家によるものではないが、プラットフォームがインフラ的役割を担う現代においては、「準公共空間」としての社会的責任が問われ得る
•独占禁止法上の優越的地位乱用(私企業による一方的契約解除)
2. 選挙中の発信に対する影響:公職選挙法では、ネット選挙活動が一定条件下で認められており、SNSはその主戦場の一つとされています。選挙期間中において、特定の政治勢力の発言を選別的に遮断するような措置がとられると、選挙の公平性そのものが疑われることになります。これは、選挙結果への影響という観点から、今後、立法的検討の対象となる可能性があります。
3. SNS運営企業の説明責任:民間企業によるコンテンツモデレーションには限界があるとはいえ、近年ではEUの「デジタルサービス法(DSA)」のように、透明性の確保とアカウント停止の正当化が義務付けられる流れが進んでいますから、これらは充分検討すべきだと思います。
日本においても、通信の秘密(電気通信事業法第4条)や、消費者契約法、さらにはパブリシティ権等との関連で、説明責任の明確化を求める声が高まると見られます。
参考記事
•【法律の視点で考える】報道の自由か思想の弾圧か|TBS報道特集 vs 参政党
• Trends24 Japan(https://trends24.in/japan/)