【現場取材・実況見聞】青梅市・小学生自転車ひき逃げ事故──加害者不明のまま続く捜査、条例の周知徹底も課題に

【現場取材・実況見聞】青梅市・小学生自転車ひき逃げ事故──加害者不明のまま続く捜査、条例の周知徹底も課題に

((写真は記者撮影:警視庁は事故翌日、現場に目撃者提供を呼びかける看板を設置)

 6月18日午後、東京都青梅市立第三小学校の正門前にて発生した自転車による児童ひき逃げ事故について、本誌記者が現場で直接取材を行い、被害者とその家族、さらに警察官の現場検証に立ち会った内容を以下に報告する。

 事故が起きたのは午後、下校時間帯の青梅市内。小学校3年生の男子児童が青信号の横断歩道を渡ろうとした際、車道を猛スピードで直進し信号を無視した自転車が児童の右側から衝突、そのまま逃走した。

 児童は転倒し、擦過傷、両手首および両足の打撲、口腔内裂傷を負う重傷。右脚にはタイヤ痕も確認されており、かかりつけ医によると全治3週間以上の経過観察が必要と診断されている。

 現在、警視庁青梅警察署交通捜査課が「被疑者不詳のひき逃げ事件」として捜査を継続しており、事件を目撃した方からの情報提供を求めている。

現場を調べる警察官と被害者の児童

【条例解説】東京都の「自転車損害賠償保険」義務化の実情──事故後の逃走と意識の関係

 本誌は、今回の事件を契機に東京都が施行する自転車保険の義務化条例について調査を実施した。

 東京都では、令和2年4月1日より、自転車利用者に対し、対人事故に備えた保険等の加入が義務化されている。条例の目的は、被害者保護と加害者の責任意識の向上にある。

 条例は次のように定めている:

  • 自転車利用者:他人に対する生命・身体損害を補償する自転車損害賠償保険等への加入が義務
  • 保護者:未成年者の自転車利用時も同様に、保護者が責任を持ち保険加入を義務とする

 事故当該の加害者が保険に加入していたかは不明だが、保険加入の意識そのものが「事故直後の冷静な対応=救護義務の履行」に直結する心の余裕を生むと専門家は指摘する。

 東京都の配布資料には、過去に自転車加害者となった未成年の事例も掲載されている。神戸地裁(平成25年7月4日)では、11歳の小学生が歩行中の高齢女性に衝突し、意識不明の重体とした事案で、保護者に対し約9500万円の賠償命令が下された。

【警察は情報提供を呼びかけ】被疑者は現在も名乗り出ていない

 7月1日現在、加害者の名乗り出はなく、事件は解決に至っていない。本誌は、今後も警視庁青梅署の動向を追い、続報をお届けする予定である。

 本件について何らかの目撃情報・関与を知る方は、下記連絡先まで通報をお願いしたい

【情報提供窓口】
警視庁青梅警察署交通捜査係
電話:0428-22-0110(内線4252)

 また、保険制度の詳細については、東京都総合推進部交通安全課公式サイトを参照のこと。

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