紅海・バブ・エルマンデブ海峡をめぐる緊張、米国は直接攻撃を回避する構え
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紅海・バブ・エルマンデブ海峡をめぐる緊張、米国は直接攻撃を回避する構え

米国のドナルド・トランプ大統領は12日、イエメンのフーシ派が米側に接触し、米国との直接衝突を望んでいないと述べた。この発言はアイルランド・ダブリンで記者団に語ったもので、トランプ氏によれば、フーシ派は「米国と戦いたくない」と伝え、米国がイエメン情勢に直接関与しないことを望んでいるという。

この発言の背景には、紅海とバブ・エルマンデブ海峡をめぐる軍事的緊張の急上昇がある。フーシ派はイエメン西岸部で攻勢を強め、紅海沿岸と周辺島しょで支配地域を拡大した。これにより、スエズ運河とインド洋を結ぶ重要航路であるバブ・エルマンデブの安全保障が、改めて国際問題として浮上している。

現時点でのフーシ派側の公開発信では、国際航行そのものを全面的に妨げる意図は否定されている。フーシ派系の人道作戦調整センターは、紅海の航行はサウジ船舶を除いて安全だと説明している。また、フーシ派軍報道官の声明として伝えられた内容でも、海上航行はサウジ船舶を除き安全であり、サウジへの封鎖措置は「封鎖には封鎖で対抗する」という文脈で続けるとしている。

一方、サウジアラビアは東西パイプラインがイラク方面から飛来した複数の無人機で攻撃されたと発表し、施設への被害と負傷者が出たとした。トランプ氏はこの攻撃について、イランが「おそらく」関与しているとの見方を示したが、少なくとも公表情報上は、この攻撃主体や指揮系統について複数の主張が並んでいる段階である。

米国は現時点で、フーシ派への直接攻撃には踏み切らず、サウジへの情報支援や標的選定支援にとどめる構えだと報じられている。トランプ氏の発言は、「フーシ派側が米国との全面衝突を避けたいシグナルを送ったという米側説明」であると同時に、米国自身もイラン、サウジ、イエメン、紅海航路が絡む複合危機を、直接戦争へ拡大させたくない状況を示している。

しかし重要なのは、AFPなどのニュースが伝えるように、フーシ派側が「米国に直接連絡した」と公式に確認した一次情報は、現時点で確認できていない点である。確認できるのは、トランプ氏の発言、フーシ派側の航行安全に関する公開声明、サウジ側のパイプライン攻撃発表、国連側のイエメン情勢悪化への警告である。「フーシ派が米国に非介入を要請した」という発言は、「トランプ氏がそう説明した」というのが正確である。

焦点は、フーシ派が本当に米国との直接対決を避ける意思を持つのか、そして米国がサウジ支援と直接介入回避のバランスをどこまで維持できるのかにある。紅海航路の安全、サウジのエネルギー輸出、イランとの地域対立、イエメン国内の人道危機が同時に重なっており、一つの誤認や過剰反応が、より広い地域戦争へつながる危険をはらんでいる。

資料・出典

  • Reuters「Trump says Iran probably responsible for attack on Saudi pipeline」2026年9月12日。トランプ氏が、フーシ派が米側に接触し米国の直接関与を望んでいないと述べた発言を報道。
  • AP「Iraq says attack on Saudi pipeline came from its territory and other Mideast news」2026年9月12日。トランプ氏の「フーシ派は米国と戦いたくない」との発言、イエメン避難民増加、サウジ・イラク関連情報を整理。
  • HOCC「Press Release No. (001/2026)」2026年8月1日。バブ・エルマンデブ通航は無料で、禁止対象外の船舶は安全に通航できるとのフーシ派系機関の説明。
  • HOCC「FAQs」。禁止対象船舶は作戦区域で軍事標的になり得る一方、禁止対象外の船舶は安全通航可能とする説明。
  • La Media掲載「القوات المسلحة تعلن عن إطلاق عملية…」2026年9月11日。フーシ派側の軍声明として、紅海航行はサウジ船舶を除き安全、作戦は9月3日に開始されたと説明。
  • UN Special Envoy for Yemen, Hans Grundberg「Briefing to the Security Council」2026年9月10日。イエメンが「より危険な段階」に入ったとの国連側警告。
  • Saudi Press Agency「Saudi Arabia Strongly Condemns Drone Attack on East-West Pipeline by Drones Launched from Iraq」2026年9月12日。サウジ外務省が東西パイプライン攻撃を非難。
  • ABC News「Trump administration has no plans to strike Houthis for now, 2 US officials say」2026年9月11日。米国が当面、直接攻撃ではなくサウジへの情報・標的支援にとどめるとの米当局者発言。