関東にいると、秋が近づくに連れ、何故か山梨へ行きたくなります。
私はよく、バイクや車で山梨に出かけます。富士山方面、河口湖方面、八ヶ岳方面に行くときは高速道路で一気に行くのも便利ですが、甲府、勝沼方面に行くときに、私が好きなルートは、国道411号青梅街道をひたすらまっすぐ走っていく道です。この季節ならではの眺め、都心から少しずつ離れて、青梅、奥多摩のほうへ向かい、街の空気が山の空気に変わっていく感じが好きです。
私の車はトランポとタルガトップですが、後者だと、奥多摩辺りから屋根をあけて走ると、季節の変化がとてもよくわかります。
真夏のような熱気が少し落ち着いて、ここを走った経験ある方はわかると思いますが、所どころの場所で、風にひんやりしたものが混じってくる。少し寒いなと思う瞬間もあるけれど、空気が澄んでいる日は本当に最高ですね。上からうっすら巻き込む風が、車内に山の匂い、川沿いの冷たさ、木々の影、遠くの空の高さまで、そのまま体に入ってくるような気がします。
この山梨は、私的には、秋を「見る」より先に、「味わう」場所だと思います。紅葉にはまだ少し早い時期でも、果物はもうしっかり秋に近づいています。山梨県は「フルーツ王国」と紹介されていて、ぶどう、もも、すももは日本一の生産量を誇るとされています。なかでも9月の山梨といえば、やっぱりぶどうですね。
巨峰、ピオーネ、シャインマスカット、甲斐路、甲州など、品種によって食べ頃が少しずつ変わるので、農園や直売所に立ち寄る楽しみがあります。
青梅街道をひたすら走って、塩山停車場大菩薩嶺線を越え、甲州市に入る長い下り坂で、「フルーツが近い」と感じる瞬間があります。高速道路のサービスエリアで整ったものを買うのとは、少し違う感覚です。道を走っているうちに、果物のある土地へ自分から近づいていく。畑や山の気配が濃くなって、直売所の看板が見えて、季節のものが箱に並んでいる。そういう流れごと、山梨の秋の入口なのだと思います。
青梅街道は、山梨へ向かう道そのものにも魅力があります。大多摩観光連盟の案内でも、青梅街道を山梨方面へ西進し、奥多摩湖の深山橋から小菅方面や丹波山方面へ分かれる道筋が紹介されています。景色を楽しみながら山梨へ近づくには、とても気持ちのいいルートです。また、塩山停車場大菩薩嶺線から嵯峨塩鉱泉等に行くのもよいですね。

山梨のどの辺で、何を食べる?
青梅街道から山梨へ向かう旅なら、食べる場所も少し意識しておくと楽しくなります。山梨といっても、勝沼・塩山、山梨市・笛吹、甲府・石和、北杜・八ヶ岳方面では、旅の味わいが少しずつ違います。
勝沼・塩山方面といえば、まずはぶどう
ぶどうを目当てにするなら、やはり勝沼・塩山方面ですね。勝沼周辺は、山梨のぶどう旅らしさをいちばん感じやすい場所だと思います。ぶどう棚の下を歩いたり、農園で品種を比べたり、直売所で持ち帰る一房を選んだりする時間は、秋の山梨らしいゆっくりした楽しさがあります。
山梨県公式観光情報では、山梨県内では7月から11月ごろまで、シャインマスカット、巨峰、甲州などをはじめとする多くのぶどう品種が栽培されていると紹介されています。9月なら、巨峰、ピオーネ、シャインマスカット、甲斐路などが旅の目的になりやすい時期です。
果物狩りに行くなら、足元は歩きやすい靴が安心です。畑は土なので、車やバイクで出かける日でも、あまり気取りすぎない格好のほうが気楽かも。バイク・ブーツ出歩くのは結構大変ですが、朝夕の冷えに備えて薄手の羽織りものも持っていきたいところです。
山梨市・笛吹方面は、果物と直売所、フルーツスイーツ
山梨市や笛吹方面も、果物を楽しむには外せません。果物狩り、直売所、フルーツを使ったスイーツに寄り道しやすく、「山梨に来た」という明るい気分があります。ぶどうだけでなく、時期によっては梨やりんごなど、ほかの果物に出会えることもあります。山梨県公式観光情報でも、ぶどうのほか、甲府市の梨、南アルプス市・韮崎市のりんご、富士川町のラ・フランスやゆずなど、地域ごとの果物が紹介されています。
このあたりは、旅の途中で「少しだけ寄る」のにも向いていますね。農園でしっかり果物狩りをしなくても、直売所で旬の果物を買ったり、カフェでフルーツのデザートを食べたりするだけで、秋の山梨らしさが出ます。
甲府・石和・勝沼周辺、きのこ入りのほうとう
きのこを食べたいなら、甲府・石和・勝沼周辺でほうとうを探すのが自然です。私は大好物で、寒くなるとカボチャ入りのほうとうを食べに行きます。このほうとうは、山梨の郷土料理としてよく知られていますね。山梨県公式観光情報では、小麦粉を練った平打ち麺に、かぼちゃや芋類、きのこ、季節の野菜、肉などを加え、味噌仕立ての汁で煮込む料理と説明されています。少し冷たい風を浴びたあとに、きのこ入りのほうとうを食べると、体の中から秋に戻ってくる感じがします。ちなみに富士山方面にもお店は多いですね。
さて、果物の明るい甘さを楽しんだあと、昼食や夕食に温かいほうとうを入れると、旅に落ち着きが出ますよ。ぶどう狩りのあとに、勝沼や甲府方面でほうとう。石和温泉に寄るなら、温泉とあわせてきのこの入った温かいものを食べる。そんな流れも、秋の山梨にはよく合いますよね。
北杜・八ヶ岳・武川方面は、栗、きのこ、山の食材
時間に余裕があれば、北杜・八ヶ岳方面まで足を伸ばすのも秋らしいです。勝沼や甲府周辺が「果物の山梨」だとすると、北杜・八ヶ岳方面は「山の秋」の印象が強くなります。栗、きのこ、朝採り野菜、澄んだ空気。標高が変わると、季節の進み方も少し違って感じられます。ちょっと一段と寒くなりますが。
山梨県の特用林産物の資料では、きのこ類やくりなどの樹実類が特用林産物として扱われており、しいたけの主産地として峡北地域、つまり北杜市明野町・白州町・須玉町などが挙げられています。資料内では、北杜市武川村の栗園も紹介されています。
この方面では、派手な観光地をいくつも回るより、直売所や道の駅に寄って、栗やきのこ、地元の野菜を探すくらいがちょうどいいかもしれません。1泊できるなら、宿の夕食にきのこや栗を使った料理が出てくるかを見ておくのも楽しみです。
日帰りなら、果物狩り+ほうとう+栗のおみやげ
で、やっぱり日帰りなら、朝早く出て、青梅街道をのんびり走るのが良さそうです。途中で山の空気を感じながら、昼前に勝沼・塩山方面でぶどうや直売所へ。お昼は甲府・石和・勝沼あたりで、きのこ入りのほうとう。帰り道に栗のお菓子や果物を買って帰る。そんな小さな旅でも、十分に秋を感じられると思います。
時間に余裕があれば、温泉を少し入れてもいいと思います。特にバイクで風を浴びたあと、温かいものを食べて、温泉で体をゆるめる。9月の終わりに近づくほど、その気持ちよさは増していきます。

1泊なら、山の秋まで深く味わう
1泊できるなら、もう少しゆっくりできます。勝沼や甲州市方面でぶどうを楽しむのもいいし、石和温泉で泊まるのもいい。河口湖や八ヶ岳方面まで足を伸ばせば、山の空気はさらに秋に近くなります。夕食にきのこや栗を使った料理が出てきたら、それだけで旅の記憶に残ります。
日帰りの山梨は、軽やかで楽しい。
1泊の山梨は、少し深く呼吸できる。
どちらも良さがあります。
山梨は、向かう道も旅になる
山梨は、目的地だけでなく、向かう道も楽しい場所です。今回は、山梨の公式情報と、自分が何度も走って感じた道の印象を分けながら、秋の旅を考えてみました。
秋の始まりは、派手でなくてもいいと思います。少し寒くなってきた朝に、上着を一枚持って車に乗る。私の場合、屋根を開けるかどうか少し迷って、空気が良ければ開けて走る。山梨へ向かう道の途中で、季節が少し先に進んでいることに気づく。直売所でぶどうを見て、栗のお菓子を買って、きのこの香りのする温かいものを食べる。
それだけで、もう十分に秋です。今年の秋は、もっと山梨へ行こう。高速ではなく、青梅街道をまっすぐ。果物と、栗と、きのこに会いに行く小さな旅へ。皆さんもいかが?何処かで私とすれ違うかな?
エリア別食メモ
- 勝沼・塩山方面:ぶどう、シャインマスカット、巨峰、ピオーネ、甲斐路、甲州、ワイン、ぶどうジュース
- 山梨市・笛吹方面:果物狩り、直売所、フルーツスイーツ
- 甲府・石和・勝沼周辺:ほうとう、きのこ入りほうとう、栗のお菓子、温泉
- 北杜・八ヶ岳・武川方面:栗、きのこ、しいたけ、山の野菜、直売所めぐり
資料(出典)
- 山梨県「フルーツ王国やまなし」
- 富士の国やまなし観光ネット「ぶどうの収穫日本一!ぶどう狩りにワイナリーも」
- 富士の国やまなし観光ネット「2026 宝石のように美しい果実『ぶどう狩り』に出かけよう!」
- 富士の国やまなし観光ネット「山梨の郷土料理『ほうとう』を味わえる名店をご紹介」
- 富士の国やまなし観光ネット「フルーツ」
- 山梨県「山梨県の特用林産物の概要」
- 大多摩観光連盟「アクセス」
- Hiroko Konishi「False-Correction Loop Stabilizer(FCL-S)V5.0」情報確認・出典監査の考え方として参照。
