小山田圭吾氏のいじめ記事問題で一考。汚れたおしりも散らかした部屋も片付けない大人たち。

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(写真:筆者、2019年事故後に池袋暴走母子死亡事故現場を取材で訪れた筆者)

 東京都議会議員選挙で当選、選挙期間中の無免許人身事故が発覚した木下ふみこ都議、7月15日には都議会各会派による協議会のもと辞職勧告決議案を提出される可能性が濃厚(法的拘束力はない)。当選証書付与式も無断欠席したが、当編集部はほぼ毎日質問状を送るなど動向を追っている。

 同人のウェブサイトは「無免許事故について謝罪文を掲載しただけ」で、議員でありながら会見など説明のそぶりもない「都民への説明責任を果たさない」この木下ふみこ都議のように「黙り込んで終了」し、「謝罪等の表明」だけで「責任を果たさない」著名人や政治家が最近特に増えている。

 この「責任逃れ」という所為の特徴はほぼ一緒で、「責任を追求されると黙秘するか他人のせいにする」といった傾向がある。説明する義務の範囲や、説明を要求できる範囲にも当然法的な限度はあるが、池袋暴走母子死亡事故の飯塚幸三被告の主張のように、「報道が過剰で、既に各種報道で社会的制裁を受けた」旨の主張にもみられる。

「自らの過失責任を認めない(無罪無過失主張)飯塚幸三被告や、NHKの横領事件(未解決のものもある)や、政治家などの問題の後始末の付け方もなど全てに共通した「責任を避けて通る」行動だ!

 昨晩、東京オリンピック・パラリンピック開会式で作曲を担当するという小山田圭吾氏(52)の「知的障がいのある男性に対する過去のいじめ記事問題」がSNSやネット上で沸き上がり、各方面に波紋を広げていた。すでに報道されている内容だが、内容をおさらいしながら問題点を説明する。

知的障がい者に糞を食べさせる等の悍ましい過去のいじめ行為

 小山田氏はかつて音楽雑誌ロッキング・オン1994年1月号に、学生時代のいじめを「全裸にしてグルグルにひもを巻いて〇〇ニーさしてさ。う〇〇(*編集部修正)を喰わしたりさ。喰わした上にバックドロップしたりさ」(中略)「だけど僕が直接やるわけじゃない」(原文ママ) などの常軌を逸したいじめ経験を話している。

 95年の音楽誌「クイック・ジャパン」でも、いくつかある記事のうち8月号のインタビューには「みんなで脱がしてさ。」「障害がある人とかって図書室にたまる」「きっと逃げ場所なんだけど」、体育倉庫で「マットレス巻きにして殺しちゃった事件とかあったじゃないですか、そんなことやってたし」と過激すぎるいじめの詳細な記憶を明かしている。編集部は悍まし過ぎる内容に、被害者含めご家族、支援施設等で働く方々のお気持ち、感情を尊重しここでは詳細な表現を省くことにする。

 上記のような過去の一連の記事を伝えた報道に、視聴者や読者らがTwitterなどで一斉に反発したことなどから、昨晩16日夜には小山田圭吾氏が自らのツイッターに謝罪文を掲示し、オリンピック開催まで近いことや開会に使われる音楽はすでに制作されているという状況からか、NHKをはじめスポーツ各紙がネットの著名人たちの意見を交えた氏への肯定的な記事を含め、謝罪報道を一斉に報じた。

謝れない大人が次々とモラルを崩壊させる。

 さて、「ごめんなさい」という謝罪の言葉を考える。「ごめんなさい」というのは意思の表明であって、同時に責任が消滅したわけではない。裁判でも、情状等を求めるための意思の表明であり、責任を取ったことでおよそ完結する。意思の表明をもって責任の消滅まで含めてしまってはダメだ。そこで許してしまうことは、「言っているだけで、できていないこと。」まさにこのことである。

 昨今冒頭の木下都議や池袋暴走母子死亡事故の飯塚被告など、ごめんなさいの後の言葉が聞こえてこない。政治家の暴言も、常に騒ぐだけ騒いで有耶無耶である。「とりあえずごめんなさいを言って、あとはひたすら雲隠れしていれば、そのうち国民は忘れてくれるだろう」

障がい者いじめ問題を不問とするオリ・パラ委員会への疑問

 ところで、16日夜、時事通信などが伝えたところによると、東京五輪、パラリンピック組織委員会は小山田圭吾氏が、過去のインタビューで学生時代に障害者をいじめていたことを明かしていた問題について「把握していなかったが、不適切な発言」とするコメントを発表する一方、開会式の準備について「引き続き最後まで尽力していただきたい」とし、同氏の起用に変更なしとの方針を示した。

*今回のいじめ過去記事炎上問題は、健常者とは違い本人が拒絶感を表せない、処罰意思も十分表せない「障がい者へのいじめ」であるが、同パラリンピック委員会は「不問」ととれる見解を示したことになる。

昨今の大人社会は、とりあえず「ごめんなさい」と言えば責任を取ったことになるということか?

 過激なマスコミ報道に晒され、SNSの中でも叩かれ、「社会的制裁を受けたのだからもう十分責任を取った」などという身勝手な主張が生まれ、汚れたおしりも散らかした部屋も片付けない大人たち。こうした顛末を許していけば、近い将来必ず、社会に甚大な影響を及ぼすだろう・・・いや、もう起こり始めている。

 他人を傷つけても、お金を盗んでも、謝ったから「はい、お仕舞い」。ああ、失敗しちゃった!今回は保存しないで終了ボタンを押して、前のステージに戻ってやり直しだ!・・・こんな大人社会を見て子供たちは何を思うだろうか。

いじめの被害者は障がい者。不問で済まされる問題ではない。

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